
活動後記
5月以降2組の親子ネコたちの捕獲や処理を行ってきた中で、人間と動物たちの関わりについて深く考えさせられることがありました。
捕獲した2組の親子のうちの1組は空家の天井裏で生まれたため、少なくとも子ネコは外の世界をまったく知らずに育ったと考えられ、それに慣れるためにしばらく我が家で母ネコと共に過ごさせる判断をしました。結果的にそれが母ネコにとっては逆効果だったのか、子ネコたちと別れてから子ネコを呼んで何日も泣き続けていました。故事成語の中に「断腸の思い」という言葉があります。昔の中国のお話で、ある時子猿を人間に捕まえられてしまった母猿が、長い道のりを悲痛な叫びをあげながら追いかけ、ついには力尽きて死んでしまうのです。死んだ母猿の腸は悲しみと苦しみでずたずたにちぎれていたというお話なのですが、まさに今回の母ネコは断腸の思いを感じさせる悲しみ方でした。
地域猫活動は野良猫を地域猫にすることによって、いたずらに野良猫が増えることを抑え、地域の中での完全に屋外で暮らすネコの頭数管理をし、人間との好ましい関係性を築きながら共生することを目的としています。ですが、そもそもそれも人間都合ですよね。野良猫が増えることによってネコ社会の中でも複雑な関係性が生じる場合も考えられますので、ネコにとっても数を増やさないというのは好ましい側面があるかもしれません。しかし人間都合のすべてがネコにとっても好ましいわけではなく、少なくとも前述の母ネコのように、命をかけて大事に育てている子ネコたちを、ある日突然地域猫活動という看板を掲げた人間に奪われてしまう。そんな権限が人間にあるのかと考えさせられました。
そういう矛盾が生じる根本的な問題は、野良猫が発生するからです。前述の母ネコから子ネコを取り上げる罪悪感の根源は、その母ネコが野良猫になったことから起因しています。つまり、野良猫を発生させないことが地域猫活動の最終着地地点なのでしょう。
ここ数年の中で、一人暮らしになった高齢世帯での多頭飼い崩壊が数例見受けられます。野良猫はあくまで人間の都合で生まれるものです。無理な多頭飼いはできるだけ自制していただき、外で活動する可能性のある個体については去勢処置をすることなど、野良猫が発生してしまうことを我々人間が正しくコントロールすることこそが一番重要な根底だと考えます。
